受賞者からの声│札幌北楡病院 重松明男先生(授賞時は北海道大学)2015/11/25

札幌北楡病院 重松 明男 先生は、2014年度日本白血病研究基金臨床医学特別賞(日本血液学会推薦)を授賞されました。 テーマは、「急性リンパ性白血病患者に対する同種造血幹細胞移植前処置の検討」です。 重松 明男 先生より日本白血病研究基金を支えて下さる皆様に対するお気持と研究テーマの概要を頂きましたので掲載致します。

寄付していただいた皆様へ
このたびは、日本白血病研究基金臨床医学特別賞に選出していただき、誠にありがとうございました。寄付金を寄せてくださった皆様に心より御礼申し上げます。私事で恐縮に存じますが、私自身も24年前に血液疾患を患い、兄から骨髄移植を受けております。その後医学部へ入り、血液内科の医師として診療に従事しておりますが、このたび賞をいただけましたことは大変光栄に存じます。下記のごとく、患者さんの生死に直結する造血幹細胞移植という領域を研究テーマとしております。私を救ってくれた移植医療の更なる発展に貢献できるよう努力してきたいと考えております。

研究概要
成人急性リンパ性白血病 (acute lymphoblastic leukemia, ALL)は予後不良であり、長期生存率は約40%ある。多くの症例が完全寛解に達するものの、再発をきたすことが多いため、地固め療法が重要であると考えられる。移植可能例では、最も強力な地固め療法である同種造血幹細胞移植が施行されることが多いが、従来の標準的移植前処置を用いた同種移植では長期生存率が40-50%と満足すべきものではない。

北海道大学病院では1993年から2007年の期間に37例のALL患者に対して、標準的前処置であるCY(エンドキサン:抗がん剤)/TBI(放射線全身照射)に中等量VP-16(エトポシド:抗がん剤)を追加した強化前処置(中等量VP/CY/TBI前処置)を用いた同種造血幹細胞移植を施行し、3年生存率89.2%と非常に良好な成績が示された。日本造血細胞移植学会および日本骨髄移植推進財団のデータベースを用いて、標準的前処置であるCY/TBIと本前処置の比較解析においても、本前処置の優位性が示された。

2009年より厚生労働省班研究(森島班、のちに福田班へ移行)として本前処置の前向き臨床第二相試験が施行された。GVHDなど移植関連合併症の増加はなく、移植後100日以内の死亡例は認められず、VP-16の追加による合併症死亡は増加しないと考えられた。1年全生存率83%、2年全生存率70%と良好な生存率であり、多施設、前向き臨床試験においても有用な治療法であると考えられた。

札幌北楡病院 重松 明男


日本血液学会赤司理事長(左)と重松明男先生(右)

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